キャッシュレス×災害2(玉井雄貴)

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 最近私は、意識して財布に現金を入れて持ち歩くようにしている。理由はこわいからだ。

 先月に発生した台風19号は人々に凄まじい被害をもたらした。あるブログでは「家の屋根が飛んだ」という写真付きの文章、ニュースでは「北陸新幹線が浸水」と報道。どれも嘘みたいだったが、どれも真実だった。水・風・土砂。私たちのすぐそばにあるそれが、時には多くの人の命を奪ったり何気ない日常を壊したりする。

 ただそのなかでも一際、私の目に飛び込んできたあるブログの中の見出しがあった。それは「キャッシュレスな社会も考えもの」。

 そのブログは台風19号の被害者が災害発生当時を赤裸々に語ったものだ。

(前略)今回の場合でさえ、台風前に現金を下ろしていなかった方は、ATMが動いていないため、現地で食料を購入することができませんでした。幸いにも僕は、17,000円ほど下ろしていたので、食料を買う分には問題ありませんでした。キャッシュレス社会を目指すのであれば、災害時でも使えるような電子機器を開発するか、今の仕組みを大きく変える必要が出てくるのではないかと感じました。

 実際に今回の台風でも、現金がなくて物が買えなかった人がいたのだ。

 ということは過去の災害でも現金がなくて食料が買えないという人が間違いなくいたに違いない。そして今、国を挙げてキャッシュレスを拡大させている。現在の日本のキャッシュレス率は20%程度だが、今後はよりその幅を広げる。そしてキャッシュレスが十分に普及した未来の日本で災害が起こる。ひとたまりもないだろう。

 日本は外国と比べるとキャッシュレスが進んでいない、というのが現状だ。その理由として国民性だとか高齢化が進んでいるからだと言われる。

 だが本当にそうなのか。皆昔から災害が多いことを知っているから、実は災害時に現金がないことの怖さを潜在的に知っているのかもしれない。ただそれを忘れてしまっているだけなのかもしれない。

 先日自転車を修理してもらい、¥2,380の会計をカードで済まそうとした。だが理由はわからないがなぜかカードの読み取りがうまくいかず、結局現金で支払うことになる。財布を恐る恐るみるとそこには千円札が2枚と百円玉が4枚ある。

「助かった…。」

 カードが使えないという怖さを知った。現金がありがたいと思った。これが災害時だったらと考えた。こわいと思った。

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