伝えたい!(村上莉乃)

remember117

10月6日 午前9時55分

お父さん「バイトか?」
「ううん」
お父さん「遊びか?」
「うーん、遊び?
  ___違うけど、お出かけ、、」

言えなかった。起震車に乗りに行くこと、お父さんに言えなかった。

私のお父さんは尼崎生まれ、尼崎育ち。
だけど震災当時、お父さんは専門学校に通うために愛知に住んでいた。
お父さんは震災を、知らない。

はじめはこの続きに起震車の体験についてつらつら書いていたけれど、
体験記は他の方に任せて、私は帰りの電車で考えていたことについてお話しようと思う。

ずっと夢だった起震車の体験、終わって一言目は「疲れた」だった。
もはや往路の私の軽い足取りなんて完全に消え去っている。
安直に乗りたいと言うんじゃなかった、と思いつつ、
それ以上に私の心の中を不安で占めていたのは
「今日のことをどうお父さんに伝えようか」ということだった。

私のお父さんはこういった類のことに無関心で、
お母さんが言うには「偽善者にもなれない」人。
それは当事者になったことがないから、というのもあるのだろうけれど、
当然防災講習会などに行ったことがなければ、防災なんて人ごとだと思っているのだろう。

そんな人に、どんな言葉で、どんな温度で今回の経験を伝えよう。

初稿をミーティングで読んだ日の夜、お母さんにこの記事のことについて話してみた。

「なぁ、もし私があの日起震車に乗るの伝えてたら
  何て言うたと思う?お父さん」
お母さん「えっ、、、『ふーん』で終わったと思う」
「ですよね~」

あの日から1ヶ月私はまだ、お父さんに伝えられていない。